2.生態系の維持(大町自然観察園のザリガニ退治)

私は千葉県市川市の大町自然観察園を度々訪れる、マイフィールドの一つである。

ここは途中で5年ほどのブランクがあるが、もうかれこれ20年以上通っている。私の高校時代の恩師の石井信義先生(故人)らが谷津田環境の保存を呼び掛け、大町自然観察園としてスタートした。現在は大町(総合)公園の中の自然観察園となっている。

 

 ここには貴重な生物たちが生き残っている。昆虫類ではヘイケボタルが見られ、ミドリシジミコオイムシなど減少傾向にある昆虫たちもよく観察される。また市川市内では少ないホソミオツネントンボの貴重な越冬地の一つでもある。

 水の中にはスナヤツメが市内で唯一生存が確認されている。またヌマエビの一種も池の一部で見られ、流れのあるところではサワガニもいる。

 

 このように貴重な自然を残している大町自然観察園であるが、20年前と比べると生態系は乱れてきている。その要因の多くはいわゆる外来種で、園内で見られる外来種はウシガエルミシシッピーアカミミガメヨコヅナサシガメ(昆虫)、カダヤシなどで年々種類も増えている。その中で一番目立つのがアメリカザリガニである。彼らはトンボのヤゴや水生昆虫を捕え、サワガニの領分を侵している。

 

 もちろん隣接する市立市川自然博物館の職員なども嘆いているばかりではない。ボランティアの方々と力を合わせ帰化植物を除去したりしている。写真は園内の鑑賞植物園の阿部氏であるが、氏はこつこつと生態系の保全に力を入れている。雑草を取り除き、堆積物を取り除き水面の確保など八面六臂の大活躍である。写真の中の阿部氏は池の一つのアメリカザリガニを駆除しているところである。この日は十数匹を駆除した。2~3日間で数十匹を駆除したそうである。なぜアメリカザリガニを駆除するのか、それはこの池にはクロスジギンヤンマ、シオカラトンボ、オオアオイトトンボのやごがいるが、アメリカザリガニが成長し数が増えると彼らを駆逐してしまうからである。放っておくと、アメリカザリガニの他はほとんど見られない池になる。そこで駆除ということなのである。柵でかこってあるわけではないので、いずれまたアメリカザリガニはここに入り込む。そしてまた駆除する。いたちごっこのようであるが、このような地道な作業があって、ここの貴重な生態系は維持されているのである。 いたちごっこはザリガニだけに限らない。帰化植物の代表選手・セイタカアワダチソウもここには多く入り込んでいるが、毎年ボランティアの方々が駆除を続けている。

 

 園を訪れる人の中にはミドリガメ(ミシシッピーアカミミガメ)を持ち込んだり、外来種でなくても、もともとここにいなかった生き物を放す人もいる。驚くことにスッポンを持ち込んだ人までいる。飼いきれなくなったという理由は分かるが、身勝手と言わざるを得ない。放した生き物がどの様になるのか、放された場所はどの様になるのかを責任を持って考えてほしい。今回駆除されたザリガニは飼いたい人がいたので譲るそうであるが、そうでなければどうするのであろう。殺してしまうのは忍びない、となると人工的環境下で飼育するか、ザリガニの侵入を防ぐ手立てを考えるしかないのだろうか。

 被害者でもある帰化動物たちの今後も含めて一人ひとりが考える時期が来ているのではないだろうか。